「車両を残す」ことは簡単ではない。先月、ネットを賑わせていた鉄道がらみの話題に小田急電鉄の保管車両の去就があった。歴代ロマンスカーを含む保管車両「全車解体」というショッキングな内容には多くのファンが嘆き悲しんだが、どうやら今回は全車解体ではなく一部の車両を「間引き」することで落ち着きそうだ。
今回の騒動でクローズアップされたのは、民鉄での車両保存は「その時点」での経営判断に左右されるという事。歴史的価値のある車両を後世に残すという大義名分も空手形になりえるということだ。
そこで振り返って欲しいのは「残す意義」とは何かということ。鉄道記念物クラスの車両は別にして、民鉄にも後世に残す価値のある車両は存在する。それは「残されていれば」が大前提。壊してしまう事は簡単だが、残っていれば新たな展望も拓かれていく。奇跡的に残されていたことが幸いした例として、JR西日本に残る一等展望車マイテ49形や京都鉄道博物館のC5345号機がある。その一方でリニア鉄道館では700系新幹線搬入に際して、従来展示されていた300系量産車を置換え解体されている。車両を「残す意義」とは何か。今はあたらめて問題提起されている時期にあるようだ。
|
役目を終えた車両が保存されるケースは稀。 (カメラ CANON NewF-1、フィルム フジクローム RDP)
|
【スポンサーリンク】