157系、通称日光形電車は、昭和33年日光向け準急「日光」用に製造された系列で、性能的には東海形153系をベースに勾配抑速発電ブレーキを備え、アコモデーションは151系「こだま形」を参考にした「折衷形」。特に前面デザインは傑作の一つで運転台の高さはEF58電気機関車とほぼ同じであることは意外と知られていない。
「準急」使用ということで冷房設置は見送られたが、側窓は下降式が採用され、窓上部から外気を取り込めるように配慮されていた。特急並みの車内設備により準急「日光」以外にも東海道線の特急「ひびき」に使用されるに至って、全車冷房改造されて新幹線開業前までは東京~大阪を往来した。 この系列で特筆すべきは「貴賓車」クロ157の存在で、現在は185系電車と運転できるように改造されているがJR東日本に健在である。
汎用性に富んだ系列だったが、実働は19年程で貴賓車を除き全車廃車となった。短命の原因は「下降式」窓による車体腐食。水抜き構造が未成熟だったことと、冷房による結露でアスベストが水を含み車体外板を傷めるに至り、外板更新を行った車両も多かったが腐食を抑えることはできなかった。運用離脱した頃、地方の私鉄が157系導入検討のため実車検分した際、外板状態の悪さに断念したというエピソードもあるほど最後は哀れだった。結果として「折衷」というコンセプトが短命に終わった例ともいえる。後年、似たコンセプトで誕生した185系「特急形電車」の長寿とは対照的な生涯だった。
準急、急行、特急に使用された157系最後の運用は特急「あまぎ」。 現在の特急「踊り子」の前身でもある。(ネガカラー) |
157系風に塗装された185系。 |
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