この本は1994年11月にJTBより発刊されたもので、写真は広田尚敬、真島満秀両氏、エッセイは和久峻三、高田 宏、松尾定行の各氏、技術講座は大木茂氏という充実ぶりだった。その大木氏の記事の一部抜粋してみる。
●安全を再確認しよう
言うまでもなく、鉄道の撮影は危険と隣り合わせになることが多い。より迫力のある絵を求めて無理をしたり、無意識のうちに気づかず、ある一線を越えてしまうことがある。何をしたらいけないか、どこまでなら許されるか、普通なら常識で考えれば十分わかることなのだが、それに加えて次の二点からも考えてみたい。
1.自分で考え、周囲から客観的に見ても安全だと思える場所でも、高速で近づいてくる運転席からの視点を忘れないでほしい。(以下省略)
2.子供達に誤解され、無条件に真似をされるような行動は慎む。 (以下省略)
「規制はともかく、自分で責任をとれる範囲で考え、行動する」のが大人の行動規範。だが残念なことに、大人社会と子供社会の区別のないこの国で、あまりにも大衆化してしまった趣味の鉄道撮影の世界ではそんなことばかり言っていられない。それなりの配慮が必要だ。そこで蛇足だと思うのだが
1.踏切以外、線路横断はしない。
2.撮影時以外はできるだけ線路から離れている。
3.線路際に立つ場合、線路際の小路(犬走り)または架線柱の内側には入らない。
4.駅ホームでの撮影では、白線の外に出ないのはもちろんだが、特に進入速度の速いホー ム端では余裕を持った位置に立つ。三脚を使うときは許可を得る。
5.畑などの私有地に入る場合、作物を踏み荒らさないよう気をつける。ゴミを散らかさな
い。
6.駅、私有地に立ち入るときはできるだけ許可をとる。挨拶をする。
などを常に頭にいれておきたい。
そして氏は最後にこのように締めくくっている。「鉄道というのは大勢の人が利用する公共の交通機関なのである。そこでは安全性が第一に求められる。自分だけが安全と思っていてもダメなのだ。」
鉄道撮影は鉄道会社、関係者等との信頼関係で成り立つもの。
ファン同士よき人間関係を。感謝の気持ちは挨拶から。
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