ブルトレブームだった頃、ファンから脚光を浴びたのが「ヘッドマーク」を装着したEF65形電気機関車。特急色をまとった寝台特急は魅力的だったが、その運用はEF65には不向きだったことはあまり知られていない。最大出力を発揮できる速度でもある定格速度でいえば、EF65は45~72km/hと最高速度75km/hの貨物列車向きで、最高速度110km/hの寝台特急は性能にそぐわない過酷な運用だった。
背景としては、高速な旅客列車は電車にシフトしていたことから、機関車の開発は「貨物」中心で速度特性より出力や牽引力が重視されていたため、旅客列車運行に際しては列車ダイヤを含めた「運用面」で性能不足をカバーしていたことになる。皮肉な事に後に誕生した高速貨物機EF66形は、高速貨物のみならず寝台特急牽引にも十分な定格速度が備わっており、1985年、EF65に代わり九州ブルトレ牽引に就いたのは自然な流れだった。
寝台特急がなくなった今では、本来の貨物運用に専念しているEF65だが、「機」を粉にした華やかだった特急時代と異なり、適材適所の運用に就く現在の方が自然に見えるのは私だけだろうか。
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