2016年12月16日金曜日

痛勤酷電

 ラッシュアワーの車内に大きな荷物を持ち込む時のバツの悪さを一度は経験した事があるだろう。かつての国鉄時代には現在より過酷な「痛勤」と揶揄されたラッシュアワーに2扉の急行形電車が運用されていたことがあった。これは近郊にある車両基地から車両の送り込みを目的として回送ではなく旅客扱いをしたものだったが4扉ロングシートの通勤形電車、3扉セミクロスシートの近郊形電車に混じって乗降に時間のかかる2扉のボックスシート車両が運行されることは冒頭の大きな荷物以上にやっかいなことだった。
 特に夏場は急行形車両が全車冷房車だったことから乗客が集中することになり、運行上慢性的な遅れをひきおこす原因となっていた。ただ、これら急行形車両を使用した列車は終着駅到着後折り返し急行列車として運行される本来の目的から、単純に車両を替えれば良いということではなかったため混雑緩和としてグリーン車を普通車扱いとする施策もとられたが抜本的な解決には至らず、結果的には急行形車両のラッシュ時運用は徐々に解消されていく方向に進んでいった。その後、特急時代になると送り込みを兼ねたこのような列車は有料の「ホームライナー」へと発展、今では4扉の普通列車にもグリーン車が連結される時代となった。時代が違うとはいえ、今では考えられない「酷電」のエピソードだ。    
上り普通列車だが列車番号も急行表示も間違い。こんな時代もあった。
(カメラ CANON NewF-1、フィルム フジクローム RDP)

 
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